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【リハビリ部長インタビュー】急性期から回復期、在宅まで長く関われる魅力

リハビリテーション部 部長 徳原孝夫 | モットー「三肢は患者の為に、一肢は己の為に」

埼玉県出身。当時まだ県内に養成校が1校しかなかった平成3年に理学療法士の免許を取得。急性期の総合病院にて整形外科、呼吸器リハビリ、心臓リハビリなどさまざまな疾患を経験した後、グループ内の療養型病院へ異動し、回復期リハビリテーション病棟の立ち上げを経験。そこで「認知神経リハビリテーション」と出会い、研究と実践を重ね、認知神経リハビリテーション学会の理事も歴任。現在も一般社団法人認知神経リハビリテーション学会の代議員を務める。平成16年に那須脳神経外科病院(現 那須北病院)リハビリテーション部所属長として入職、その後リハビリテーション部部長に就任。

▼目次
那須北病院のリハビリテーション

認知神経リハビリテーション
リハビリテーション部の特徴

那須北病院のリハビリテーション

― 長期で関わり、退院まで見送ることができる

那須北病院(旧 那須脳神経外科病院)のリハビリテーション部では、急性期から回復期、そして在宅まで長期間に渡って患者さんと関わることができるのが特徴です。発症してすぐの急性期では、機能的な改善をメインに治療に当たることができます。回復期では、家に帰ってから生活をしていく上でどういう動作を獲得する必要があるかを考え、それに沿ったリハビリを提供します。退院後の患者さんには訪問リハビリで家にお伺いし、入院中のリハビリで獲得した機能を維持していくために家でどういう自主トレーニングに取り組んでいただくかを考え、指導していきます。このようにセラピストが関わる全ての段階を、那須北病院では経験することが可能です。

都心部の病院だと、急性期病院で2週間~1ヶ月間リハビリや治療をした後、回復期の病院に転院してしまうことが多いようです。急性期で関わっていた患者さんがようやく良くなってきたところで回復期の病院に転院してしまうため、どんな状態で家に帰られたのか最後まで見ることができません。当院の場合は、長い患者さんだと6~8ヶ月ほど入院される方もおられます。地域・在宅への復帰というゴールに向かって、急性期→回復期でそれぞれ取り組むことを段階的に組み立てて、長期で関わっていくことができます。当院へ就職するセラピストの多くが、長期間関わりたいという希望で入職しています。

これからは病院完結ではなく、訪問リハビリや通所リハビリといった病院と地域・在宅をシームレスに繋いでいけるようなリハビリテーション体制を強化していく必要があると考えています。病棟だけではなく、在宅分野での新たな経験・成長機会をスタッフには提供できるようになっていくと考えます。

認知神経リハビリテーション

― 県内で唯一、認知神経リハビリをディスカッションできる環境

理学療法士として約10年ほど経験を積んだ頃に認知神経リハビリテーションの理論と出会いました。それまでも幅広く理論を勉強していたのですが、認知神経リハビリテーションの特徴である「脳の中にアプローチして、運動する時のメカニズムを再構築してあげる」という考え方、その効果に共感をしました。その後、研究・実践を重ねて、今は一般社団法人認知神経リハビリテーション学会の代議員を務めています。

栃木県内でも、認知神経リハビリテーションを勉強しているセラピストが複数人集まっている職場はおそらく那須北病院だけだと思います。同じ認知神経リハビリテーションでも、セラピストによって見方は違ってきます。お互いにディスカッションができることによって、さまざまな考え方や知識を身に付けることができ、成長を促すことができる環境であると言えます。

― 退院後も自然に動ける状態を目指して

当院では脳梗塞などが原因で片麻痺の患者さんが多く入院しておられます。その麻痺を治療する療法として、認知神経リハビリテーションを活用します。脳疾患の患者さんが手を動かす・足を動かすといった動作をする時に、障害があるのは脳の中です。認知神経リハビリテーションでは、身体を動かす時の脳内のメカニズムを再構築できるように働きかけます。

一般的なリハビリテーションの方向性は、早期からリハビリテーションを開始し、ベッドから起き上がって活動することを推奨しています。早期に動作を訓練していくことで、比較的短期間で、ある程度の回復までは見込めるのですが、麻痺が手足に残存したままの場合、その回復の上限はどうしても低くなってしまいます。時間は長くかかってしまいますが、表面的な動作ではなく、基本的な人間の身体の動きを司る脳の働きをまずは治療してあげることによって効率の良い動作・効率の良い歩行を獲得できることが、認知神経リハビリテーションの最大の利点です。

また、麻痺が残った状態で動作をどんどん頑張ってしまうと、実は麻痺した部分がどんどん硬くなってしまいます。それが問題になってしまうのが、患者さんが退院されてご自宅に帰ってからです。病院では周りから「頑張って!」と言われるので患者さんも頑張って動いてくれますが、麻痺が残った状態で家に帰るとどうしても動かなくなってしまい、廃用症候群を引き起こす原因にもなってしまいます。少しでも麻痺を治療してあげて、できるだけ自然に動ける状態にまで回復させてあげたいという思いでいます。

リハビリテーション部の特徴

― 多様なリハビリ療法を自由に学習・実践できる

脳神経外科病院ということで、院内での勉強会では脳科学や認知神経リハビリテーションに関する教育内容は充実しています。一方で、当院のセラピストには、何を勉強しても良いと伝えていて、全員が認知神経リハビリテーションを学ばなくてはいけない訳ではありません。実際に、認知神経リハビリテーション以外に自分たちが興味を持った方略について勉強をして、その内容を新人スタッフ向けに勉強会を実施してもらう機会もありますので、さまざまな分野を学べる環境になっていると思います。

患者さんの病態・年齢・置かれた環境などによって、治療・リハビリの方針は変わってきます。80~90歳とご年配の方で、少しでも早く慣れた家に帰してあげたい場合は、早期から動作メインの訓練を取り入れて、早期での退院を目指します。逆に50~60歳の患者さんで、まだ20~30年と自立した生活を送る動作を獲得したいと考える場合は、少し時間はかかったとしても麻痺を取り除くための認知神経リハビリテーションを取り入れ、本当に効率の良い動作の獲得を目指します。このように状況に応じてセラピストが治療・リハビリ方針を自ら考え、実践していける環境があります。

― 職種間の壁が低く、コミュニケーションが取りやすいチーム

当院のリハビリテーション部は、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士とそれぞれの職種間の壁が低く、コミュニケーションが取りやすい関係性ができています。スタッフルームには各自の机があり、朝夕及び休憩時間はスタッフ皆が集うので、職種を越えて雑談やディスカッションなどが自由にできます。

さまざまな知識・技術に触れながら、自分自身が描くセラピストを目指していく。そんな環境が、那須北病院のリハビリテーション部にはあります。少しでもご興味がある方は、ぜひ見学にいらしてください!

(写真・インタビュー・文:MottoBrand 福井勝雄)


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